不倫や浮気の相手と結婚するには、互いのどちらかの配偶者が別れてくれなければなりません。
自分たちの意思では叶わぬことです。
そうなると自分たち二人の意思で可能な道は"捨てるか、捨てられるか、心中するか"の三本だけです。
これでは最初から最後まで、不倫は暗く希望のない関係になってしまいます。
ところがもうひとつだけ、二人がたどれる可能な道があるのです。
それがひっそりと誰にも知られずに愛を保ち抜く、という方法です。
『マディソン郡の橋』の写真家キンケイドと主婦、フランチェスカの恋です。
夫にも子どもにも知られずに、ひっそりと墓場まで愛をもっていってしまったのです。
ここには捨てるだの捨てられるだの、キーキー声のわめきはありません。
本当に互いに愛し合っていたら、たとえ時期が来て結婚の関係が絶えたとしても、心の愛情は残るのです。
いい換えれば、不倫の特徴は、結婚の絶えたあとも、互いに長い期間の純愛を保ちつづける生活にあります。
しかしこの満ち足りた二人の関係は、やはり結婚で激しく愛し合ったあとでないと生まれません。
結婚の切れ目が縁の切れ目では、なんのために不倫をしたのか?となってしまいます。